韓国のアートセラピー事情

【色と心に国境はある?】
遅ればせながら、11月末に「色彩学校」の仕事で韓国へ行ってきました。
空気の質感が、やはり、全然違う。
大陸の乾いた冷たい風と大量の落ち葉が、ソウルの第一印象。

仕事は土日でしたが、到着日の金曜にソウル市庁でちょうど、美術治療の現場で
脱北者の子どもたちが描いた絵や表現の展覧会が行われていました。
ちょうどその頃、北朝鮮の兵士の脱北のニュースが大きく取り上げられていましたが
展覧会のことは一緒に韓国に行った講師仲間から聞くまで知らなかった!
早速タクシーで向かいますが、ソウルの渋滞はハンパないです。

 会場入り口の看板

近代的なソウル市庁舎の一角で行われていた展覧会。
子どもたちの、ありのままの、取り繕わない心の声が、色になり形になって
表れていました。
脱北の時の命がけの体験、親しい人たちとの別れ、空腹、たとえ無事に韓国まで
たどり着いても親と暮らせない、差別やいじめなど…様々な困難を抱えている
子どもたち。
黒く塗りつぶされた画面や戦い・弱肉強食を思わせる絵などが胸を打ちます。

一方で、友達と手をつなぐ絵、虹やハート、家族と暮らす家を愛情をこめて作るなど、
社会の平和と心の平安を切に願う力強い気持ちも感じました。

個人的には、東日本大震災の時に子どもたちが描いた絵を見る機会がありましたが
その表現とのつながりを思わせるものもあり、状況は違っていても
【心の表現には国境はない】と改めて思いました。

展覧会を主宰したペク先生は、「色彩学校」韓国校を立ち上げた”行動の女(ひと)”。
実は韓国では”美術治療”として、アートセラピーが表現を心理治療に活かす方法として
社会的にも(日本よりも)広く認められています。

ただしペク先生は、表現の分析が主体のこれまでの手法に限界を感じ、アート=表現
すること自体のもつ力、言い換えれば、人が本来持つ”自己治癒力”を高める方法と
して「色彩学校」の「末永メソッド」を根付かせようとしています。
その想いと熱意は純粋で熱く、私も韓国校の皆さんとの交流を通じて、その熱を
胸いっぱいに吸い込んだように思います。

日本で、名古屋でアートセラピーの拠点を作る、そのためにこれからも
進んでいこうと決意を新たにした、4日間でした。

 川のほとり、美しい散歩道のそばのペク先生のオフィス。